あたたかなつながりと地域循環

コンポストとは、台所の生ごみや落ち葉などの有機物を、微生物の力で分解し、堆肥=土に還すしくみです。
還元された有機物は、やがて野菜や花を育てる土の栄養になります。
自然界には「ごみ」という概念はなく、すべてが循環のなかにあります。
落ち葉や命の営みは次のいのちへとつながり、「捨てる」は本来、存在しない行為です。
しかし都市では、生ごみの多くが「燃やすべきごみ」とされ、
東京ではその約8〜9割が水分を含むため、焼却に多大なエネルギーとコストがかかっています。
けれどその多くは、本来、土に還し、育て直せる“資源”です。
そして今、私たちはコンポストを通じて
人と自然、人と人の「あたたかなつながりと地域の循環」を育てようとしています。
コミュニティコンポストと家庭コンポスト
家庭コンポストは、自宅で出た生ごみなどを、自分の家の中や庭・ベランダなどで処理して、
堆肥にして使う方法です。コンポスト容器・やり方はいろいろあります。
コミュニティコンポストは、地域の公園や畑など、みんなで共有する場に設置されたコンポストを使い、
家庭やお店から出た生ごみなどを持ち寄って堆肥をつくるしくみです。
地域の人と協力しながら、土を育てたり、花壇や学校に堆肥を還したりする循環が生まれます。
地域循環
わたしたちは、東京の暮らしの中で出た有機資源を、東京の中で循環させるしくみを育てています。
①資源を集める
家庭やお店から出る生ごみ・木くず・米ぬか・コーヒーかすなど、地域の有機資源を分けて集めます。
②堆肥をつくる
微生物の力を借りて、地域の人たちと協力しながら堆肥を育てます。
③育てる・還す
できあがった堆肥を使って野菜や花を育てたり、公園・学校・花壇などに土を還します。
④分かち合う
収穫した野菜や咲いた花をみんなで味わい、楽しみ、まちの風景に彩りを添えます。

なぜ都市でコンポスト?
「スペースがない」「においが心配」「どこで土にするの?」
そんな都市ならではの疑問や不安は当然です。
それでもわたしたちは、都市こそが、地域のなかに循環を生み出す場になれると信じています。
- ベランダや屋上、花壇などでもできる少量・分散型の堆肥化
- 公園の落ち葉や飲食店の残さ、家庭の米ぬかなど地域資源を活用
- 堆肥を共有・預け合いながら、育てる場につなげていく仕組み
- 家庭・学校・職場・地域をつなぎ、多世代が関われる実践の場に
都市におけるコンポストは、
人と人がつながり、土とふれあい、資源と向き合う関係性をつくることそのものが価値になります。

都市共創ファーム「原宿はらっぱファーム」
世界のコンポスト事情
コンポストは、世界のいろいろな国で、くらしの中のあたりまえとして取り入れられています。
たとえばフランスでは、生ごみの分別が義務化され、
地域には「コンポストマスター」という担い手がいて、住民と一緒に堆肥づくりを進めています。
韓国では、ごみの量に応じて料金が変わる仕組み(従量課金)があり、
生ごみはきちんと分けて、堆肥や家畜のエサとして活かされています。
ドイツでも、生ごみを分けて「バイオトン」と呼ばれる茶色の容器で回収し、
地域ごとに堆肥化施設が整っているのが特徴です。
それぞれの国でやり方は違っても、
「捨てずに活かす」「地域の中で循環させる」という考え方は共通しています。
わたしたちも、そんな世界の知恵をヒントに、東京らしい循環のかたちを育てています。

一緒に、はじめてみませんか?
わたしたちと一緒に、まずはできるところからはじめてみませんか?
やってみると、意外とできることに気づきます。
そして、思った以上に楽しい・学べる・つながる体験が待っています。
「捨てる」を見直し、「育てる」くらしへ。
あなたの暮らしの中に、小さな循環の一歩を取り入れてみてください。
きっと日常の景色が、少しやさしく変わっていくはずです。